人気ブログランキング | 話題のタグを見る

家田足穂のエキサイト・ブログ

france1pen.exblog.jp
ブログトップ
2014年 10月 29日

[ 9 ] 愛するハルキュオーネ

  ギリシア神話と叙事詩から

[ 9 ] 愛するハルキュオーネ_b0221219_21121751.jpg


船乗りの夫が帰る季節になっても戻ってきません。心配するハルキュオーネは、夫恋しさに鳥になってでも探しにゆきたいと願いました。その心根を哀れにおもった神々は、その願いを聞き入れました。鳥になったハルキュオーネは、空高く飛び上がり夫を探しまわりました。

[ 9 ] 愛するハルキュオーネ_b0221219_21243433.jpg



いっぽう、死体となった夫は妻が忘れられなかったのか、海を漂いながら妻の住む国へむかって流れていました。ハルキュオーネが夫の死体を見つけ、夫の体の上に止まりました。それを見た神々は哀れにおもって夫を鳥に変えてやりました。鳥になった二人は、愉しそうに彼方へ飛んでいきました。


                              *


ギリシアでは、ハルキュオーネという妻の名前から、ハルキュオンという鳥の呼び名ができました。その鳥は《 飛ぶ宝石 》といわれているカワセミ(翡翠)の一種だといわれています。

[ 9 ] 愛するハルキュオーネ_b0221219_21281313.jpg



                 *          *         * 



  《 [ 9 ] という数字について 》

ヨハン・セバスティアン・バッハは、数字についてあるこだわりをもっていた人でした。彼は楽譜の余白によく数字を書き入れることが、しばしばあったといわれています。

ある楽譜の余白に、Bach = 14 と書き込み悦になっていたようすでした。なぜかというと、イエスが12人の弟子たちと最後の晩餐をおこなったとき、ユダの裏切りを予告しました。ユダはその通りイエスを裏切りました。事の重大さに気付いたのか、やがてユダは首をくくって自殺しました。最後の晩餐でユダは13人目の人でした。つまりユダが自死したので、13は死を意味する数字になりました。

イエスが人間を救うため、自らを犠牲として十字架の上で死にました。そして、葬られたのち3日目に復活しました。死ののちの14は、復活を意味する数字でした。だからBach の14は復活です。
バッハはそのことを喜んだはずです。

もっと重要なことは、バッハの音楽の集大成といわれる《 ロ短調ミサ 》の傑作はたしかに数字にこだわった楽曲です。

その《 キリエ 》あわれみの賛歌は、「主よ、憐れみたまえ」という3楽章の楽曲です。つづく《 グローリア 》栄光の賛歌は、三位一体の神の栄光を讃える祈りの9楽章の楽曲になっています。さらに次の《 クレド 》信仰宣言の楽曲は、やはり9楽章の楽曲です。

3と9にこだわったのは、三位一体の神の三のペルソナの3にちなんでいるのです。その3の2乗、3×3= 9 になるから、9楽章になったのです。神にあわれみを求める《キリエ》の3楽章、三位一体の神の栄光を讃える《グローリア》も9楽章、信仰を宣言する《クレド》は、神に信仰を表明するためにも9という意味の深さを込めたようです。このように数字の意味を重視にして数を使うことを「数象徴法」といいます。バッハはこのことにずいぶん気を配ったようです。


                              * * *



次回は 2011.11.27《エピローグ》 新婚旅行のメッカ、スニオン岬の風景です。(なにかの間違いで、《ギリシア神話と叙事詩》シリーズの [8] 2011.11.26. につづくのが、この位置にきてしまいました。このシリーズは、2011.11.15. のブログから始まっています。)









by francesco1hen | 2014-10-29 09:42


<< 冬の富士と近くの山々  湘南藤...      キリストのイメージの変遷(6)... >>