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家田足穂のエキサイト・ブログ

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2014年 07月 26日

北イタリア・ポンポーサ修道院の鐘塔

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ポー川下流の広大な三角州の中ほど、ベネチアとラヴェンナの間に6世紀に創建されたベネディクト会修道院ポンポーサがあります。この修道院は当初パヴィアの修道院やラヴェンナの司教座に従属していましたが、紀元1000年ころに独立し、大きく発展して周辺の地域を支配するようになりました(修道院領)。この時期に修道院長をつとめたのがラヴェンナ出身の貴族グィードでした。8世紀に建てられた修道院教会は、彼によって増築され今日のすがたを整えました。

この教会の身廊のアーチは9つあり、祭壇のある後陣は、1つから3つへと拡大され、入口にはナルテックス(玄関の間)が追加されました。さらに見事な鐘塔も建設されたのです。

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教会の正面はこの建築の中でもっとも豊かで個性的に装われた場所です。壁面のレンガの濃淡が美しい文様を描きだし、繊細に浮き彫りされた動植物の文様の帯が全体を引き締めています。

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この修道院教会でまず目をうばうのは、9層からなる見事な鐘塔です。ロンバルディア風の装飾に縁取られた各層にはそれぞれに窓があり、窓は上の層にいくほど広がりその数を増していきます。構造的にも意味があり、見るからに上にのびる軽快感が気持ちよく感じられます。

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ロマネスクやゴシック建築の教会堂や大聖堂の鐘塔は、人々の究極的な目標である天国への憧れをこれほどつよく表現するものはないと感じられるほどの建造物です。


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ポンポーサ正面玄関からの眺めです。これまで見て来たのは湿原の美しい緑にレンガの色が映えるポンポーサの大修道院のすがたでした。



             1993年春 北イタリア・ロマネスクの旅より








by francesco1hen | 2014-07-26 11:32


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