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2011年 11月 24日

(10)《メサイア》の現代的意味

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世界中の多くの人々が知っているように《メサイア》はもっとも愛されてきた音楽作品です。聖書の様々なメッセージを伝えるその音楽は、美しい透明感をもったアリア、あるいは迸るように激しく迫ってくる合唱が、人間に訴える真理の響きとして率直に「魂」に流れ込んで、心を動かす音楽です。

歌詞の内容のすばらしさと音楽性の高さをもちつづけ、そして聴衆を魅了します。圧倒する音楽の素晴らしさの中で《メサイア》は「魂」の深奥にあるものを揺り動かし、キリスト教のメッセ−ジを証しすることを超えてすべての人間に生きる究極の真理を感じさせます。そこにこそ、この音楽の偉大さがあります。

人々を崇高なものへと高めていく、この普遍的な価値をもっている「全人類的音楽」が、今日なお全世界の人々に迎え入れられているのは《メサイア》が希望と喜び、そして平和・平安のメッセージをはこぶ音楽、人々が求める永遠の真理を歌いつづけるからであると確信することができます。

そして、これこそが《メサイア》で歌われるメッセージの現代的意味であり、また魅力ではないでしょうか。

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《メサイア》を古楽唱法と古楽奏法の響きで聴くためのCDを紹介します。

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(1)     (2)
(3)     (4)
.....................................................         CD記号・番号

(1)指揮者 クリストファー・ホグウッド        POCL-2476/7 (DVDも出ています)  
   オックスフォード・クライスト・チャーチ聖歌隊
   エンシェント室内弦楽楽団

(2)指揮者 トン・コープマン WPCS-19299/300
   合唱  ザ・シックスティーン 
   アムステルダム・バロック管弦楽団

(3)指揮者 鈴木雅明 KICC-217/8
   合唱と管弦楽 バッハ・コレギウム・ジャパン
   
(4)指揮者 ポール・マクリーシュ POCA-1139/40
   合唱と管弦楽 ガブリエリ・コンソート&プレイヤーズ

追加 指揮者 トレヴァー・ピノック F64A20034/5
   イングリッシュ・コンサート&合唱団

(註)独唱者名は、割愛しました。

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                《メサイア》ブログ・シリーズ  ー f i n ー
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by francesco1hen | 2011-11-24 16:41 | Comments(0)
2011年 11月 24日

(9)《メサイア》第三部のハイライト

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「わたくしは、自らと人々の《精神の向上のために》崇高なるものへと少しでも高めたいと思い、全精力を傾けて音楽を創りました。」
このようにイギリス市民階級の人々に語ったヘンデルと、ドイツで数々の名曲を作曲し、信仰心を育てたバッハは、バロック音楽の世界を完結させた偉大な巨匠でした。



《華麗・勇壮なトランペット・アリア》


第三部第14楽曲群の第47曲「わたしはあなたがたに神秘を告げます」の絶妙なレチタティーヴォが、神秘の雰囲気を込めて死者の復活の神秘を告げます。そして第48曲「ラッパが鳴るとともに、死者は復活して朽ちないものとされ」のトランペット・アリアは、伸びやかに確信に満ちた声で繰り返し繰り返し、死者が復活して朽ちないものにされる神秘を揺るぎない信仰のうちに歌い、最後の審判の劇的様相を強烈に印象づける楽曲です。

この二つの楽曲では、すでにレチタティーヴォからテキストにあるラッパの音を模倣する伴奏が入り、オペラティックに歌うバスのダ・カーポ・アリアは、これまた最後の審判を模倣して繰り返すトランペットの助奏に支えられて、審判のときの一瞬に起る劇的変化「死者の復活の神秘」を象徴的に、劇的に、しかも視覚や聴覚に訴えるように表現しています。



《愛の完成》を歌う最終合唱、第53曲とその《アーメン・コーラス》こそ、ハイライト!


《メサイア》の最終合唱、第53曲「その血で神のために屠られた小羊は」は、ドラマティックなセンスに満ちあふれ、圧倒的な全曲の終止部を作っています。音楽内容に深く立ちいたって聴くと、第53曲はヘンデルのゆたかな想像力によって生み出された真にすぐれた究極の合唱音楽であるといえます。

複雑な声部の組み合わせとテキスト・フレーズの繰り返しの多い第53曲の声楽書法の中には、テキストの意味内容と文脈がいきいきと反映されていることが見いだされます。

第53曲の第1部は、天の玉座の周りの「万の数万倍、千の数千倍」の天使たちの賛美の声の表現です。

第2部は、「天と地と地の下と海にいるすべての被造物、そして、そこにいるあらゆるもの」の賛美の声を表わすように各声部の組合わせを変えながら、最後は天と地のすべてのもの、あらゆるものが一つになって「玉座に座っておられる方(父なる神)と小羊(キリスト)の栄光」を賛美する大合唱になっています。

第3部は、《Amen》 一語のテキストですが、第44曲「ハレルヤ!」で《メサイア》の賛美の頂点を形成したヘンデルが、さらにもう一度、最終合唱の《アーメン・コーラス》で第二部の最後「ハレルヤ!」につづく賛美の頂点を構築して、キリスト教信仰の全体像の芸術表現である《メサイア》を終結させています。


《アーメン・コーラス》は,音楽的に非常に緻密なカノン(模倣手法)を用いた雄大なフーガ(模倣反復)の合唱曲です。「アーメン」一語のテキストは、ここではホモフォニーやポリフォニーなどあらゆる作曲技法によって究極のフーガに変容し、159小節までの間に、ソプラノ26回、アルト37回、テノール37回、バス39回も繰り返されています。その延べ回数は139回の多数に上り、これに合唱人数を乗ずるならばさらに大きな数字になります。

合唱におけるアーメンの数は、ヨハネの黙示録的表現で「万の数万倍」「千の数千倍」。《アーメン・コーラス》の壮大で、神秘に与る喜びと感謝の賛美の響きの広がりは、ヨハネの黙示録の叙述を余すところなく、深遠壮大に音楽表現したものにほかなりません。


また《アーメン・コーラス》は、聖書テキストにもとづいて作曲され、演奏されたキリスト教信仰の全内容にたいする完全なる受容・肯定とその信仰宣言であると言えます。さらにそれは、キリストの再臨における「愛の完成(救いの完成)」への待望、ヨハネの黙示録の最後に書かれている「アーメン、主イエスよ、来てください(マラナ・タ)!」であるともいえましょう。


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by francesco1hen | 2011-11-24 11:50 | Comments(0)
2011年 11月 23日

(8)《メサイア》第二部のハイライト 《ハレルヤ!》

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「貴族ジェネンズが作った《メサイア》の歌詞に曲をつけ、わたしがオラトリオ《メサイア》を作曲したのです。その中の第44曲「ハレルヤ!」は傑作中の傑作です。わたしは確信をもってそう言えます。」




第13楽曲群 世界終末の状況とキリストの再臨による「救いの完成」の第44曲「ハレルヤ!」は、ヘンデルの合唱技法上もっとも優れた例です。この曲の絶大な効果は蓄えられたエネルギーの放出によって、キリスト教信仰の究極の目標である「神の国の実現(救いの完成)」を賛美するのにまったく相応しいものになっています。

第44曲のテキストは、ヨハネの黙示録の三つの部分から成り立っています。

 (1)ハレルヤ、全能であり、わたしたちの神である主(が王となられた)。
 (2)「この世の国は、われらの主と、そのメシアのものとなった。
     主は世よ限りなく統治される。」
 (3)「王の王、主の主」
     主は世世、限りなく統治される。ハレルヤ!

この曲において、まず気付くことは、テキストの上でも音楽的にも圧倒的に数多い Halleluja ! が力強く繰り返されることです。賛美の「ハレルヤ!」が曲全体を通算すると繰り返されるその数は、ソプラノが39回、アルトが41回、テノールが42回、バスが45回で、延べ数167回の多さになっています。まさにエネルギーに充ち溢れる合唱曲であるともいます。

この曲のテキストと音楽の関係をまとめてみますと、単純なメロディーと快活なアレグロリズム、声部の分離とフレーズの繰り返し、ことばの反復・連続は、天国における神の栄光、天の玉座の輝きの壮大さを余すところなく表現するとともに、救いの完成の「時」が「永遠」に転化する「大いなる神秘」を芸術表現していると言わなければならないのです。

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書名のバックは  エル・グレコ   イエスの御名の礼賛
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by francesco1hen | 2011-11-23 14:57 | Comments(0)
2011年 11月 22日

(7)《メサイア》第二部のハイライト

第9楽曲群 ヤーウェの苦難のしもベの贖罪の真相

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グリュネヴァルト  キリストの磔刑 (もっとも悲惨な十字架像といわれています)

第23曲「彼は軽蔑され、人々に見捨てられ」のアリアと第24曲「彼が担ったのはわたしたちの病」第25曲「彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた」第26曲「わたしたちは羊の群れ、道を誤り」の三つの連続する合唱は、劇的状況の視覚的表現で素晴らしい部分です。

イザヤ書53章のテキストによって、イエスの堪え難き忍耐と十字架上における苦難を歌うアルト(または、コントラルト)のアリアと弟子たちの罪に目覚めた良心の声、メシアの贖罪の意味、弟子たちの遁走のようすを、連続する三つの合唱で歌い継ぐ第9が曲群は、聴衆の心を打ちう揺るがします。

イザヤ書53章の「ヤーウェの苦難のしもベの苦難と死」のテキストは、古来からいずれの画家もことばが呼び起こすイメージの深さを具象的に描きえなかった悲惨・悲痛な詩であると言われてきました。しかし、ヘンデルは音楽によって「メシアの受難」のリアリティ、真実を見事に描写することができたのです。それは明らかにテキストの言語表現を超えるものでした。

低くて表現力に富んだアルトの声と弦楽器の巧みな伴奏、そして三つに分けられたテキストと合致する三つの合唱によって構成されたこの楽曲群は、イエス受難の真実を伝える真にすぐれた内容をもつ音楽です。

とくに第23曲「彼は軽蔑され、人々に見捨てられ」は、ダブリン初演の際にシバ夫人が歌い、聴衆に驚くべき衝撃を与え、その一人に「婦人よ、これによってあなたの罪はすべて赦される!」と叫ばせたと言われています。

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《メサイア》台本のタイトル・ページ     悲劇女優 スザンナ・マリア・シバ(初演に出演)

第23曲から第26曲までの音楽は、イエス受難の劇的な情景の中に聴衆を引き入れるような効果をもつと同時に、連続する三つの合唱はあたかもメシア受難の三枚の「絵画」を見る思いをさせる力をもっています。テキストもさることながら、ヘンデルの音楽書法における視覚的表現の卓越性を知ることができると思います。

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フラ・アンジェリコ  十字架降下のキリスト(部分)
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第23曲を歌うコントラルトのベルナルダ・フィンクの歌唱

イザヤ預言者がそうであったように、ベルナルダ・フィンクも受難の現場に立ち会った人のような想いで、受難のただならぬ現実を表現しています。中間部ではもっとも激しく歌い、それが事実であったという感情を示し、前半に戻って涙ながらにふたたび受難の真実に迫り、人々に感動を呼び起こすような歌唱をしています。

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by francesco1hen | 2011-11-22 17:42 | Comments(0)
2011年 11月 21日

(6)《メサイア》第一部のハイライト 

第4楽曲群 第12曲「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた」は、ハイライトではありませんが、音楽的内容の豊かなこの曲は、テキストの神学的意味の深さとその内容を美しく歌い上げる貴重な合唱曲です。聴き逃すことのできない特別に愛されている珠玉の合唱曲です。

第12曲で、降誕するメシアの不思議を歌うこの合唱は、バスのアリアとは打って変わって、みどりごであるメシアは、創造性ゆたかな響きのうちに「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君(王)」とたたえ歌われ、そして賛美されます。

人の「からだ」に自らを託した全能の神キリストを暗示する第12曲「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた」の合唱は、メシア誕生の歓びを高揚しながら、一転、羊飼いたちのいるベツレヘムの原野を目に見えるように叙景する、第13曲のシンフォニー《ピファ》に移ります。

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ジョット  みどりごの誕生


第5楽曲群 第14曲から第17曲「いと高きところには栄光、神にあれ」(ハイライト)

第16曲までの、野宿する羊飼いたち、天使の接近と羊飼いたちの恐れ、メシア誕生の知らせ、おびただしい天使の群れの賛美の神秘的な光景を歌うのは、光り輝き渡るような透明感のあるソプラノの声が、まさに相応しいといえます。しかも、第17曲の合唱は、天上の賛美と地上の賛美の響きをソプラノ・アルト・テノールとバス・パートに分けて歌い、ついにはメシア誕生の天と地の歓びを全声部で歌い、《メサイア》第一部の頂点を生み出しています。

第17曲の合唱では、彼方にある天国を暗示するようにトランペットが遠くから静かに吹奏されます。高音域で弦楽器が奏でるきらめくような16分音符は天国の天使たちをあらわし、反復される和音による低音域は地上の人々を暗示しています。その上、合唱はテキストに相応しい書法で書かれ、天における栄光と地上の平和の歓びを分けて歌います。

後半の「いと高きところには栄光、神にあれ」は、全パートで歓喜の大合唱となり、第一部のクライマックスを形成します。「天における神の栄光の賛美」と「地上における栄光の賛美と喜び」が、時空を超える壮大な空間の中で広がります。

第5楽曲群の音楽はヘンデルのたぐいまれなる音楽表現によって、ルカによる福音書のテキストが叙述するメシア・イエス降誕の光景を目の当たりに見えるような音楽になっています。

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エル・グレコ  メシア・イエスの降誕と羊飼いたち
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エル・グレコ  イエスの御名の称賛
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by francesco1hen | 2011-11-21 15:04 | Comments(0)
2011年 11月 19日

(5)《メサイア》の音楽とその楽曲編成 3

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フラ・アンジェリコ  ノリメ・タンゲレ(わたしに触れるな!)
           復活後、マグダラのマリアに現れたキリスト


第三部 「 死者の復活と永遠の生命 ー 愛の完成 」の楽曲編成

第14楽曲群 キリストの贖罪とキリストを信ずる者の復活  [ A / C ]
 第45曲「わたしは知っている。わたしを贖う方は生きておられる」  
                     (キリストとわたしたちの絆)  ソプラノ A
 第46曲「死が一人の人によって来たのだから」(キリストを信ずる者の復活) 合 唱 C

第15楽曲群 死者の復活と永遠の生命を解き明かす  [ R / A / R / D / C ]
 第47曲「わたしはあなたがたに神秘を告げます」(死者の復活の神秘を告げる)
                                      バ ス R
 第48曲「ラッパが鳴るとともに死者は復活して朽ちない者とされ、
      わたしたちは変えられます。」(終末における死者の復活)     バ ス A
  第49曲「そのとき、聖書に書かれていることばが実現するのです」
                    (朽ちることのない復活のからだ)  アルト R
 第50曲「死よ、お前の勝利はどこにあるのか」
                 (復活における死に対する勝利) アルトとテノール D
 第51曲「神に感謝しよう」(勝利を賜る神への感謝)            合 唱 C
 
第16楽曲群 メシアによる救いの完成  [ A / C ]
 第52曲「もし神がわたしの味方であるなら」(神の愛による輝かしい復活) ソプラノ A
 第53曲「その血で神のために屠られた小羊は」
                  (愛の完成における神への賛美とアーメン)合 唱 C


愛の完成における「神への賛美とアーメン」をテーマとする最終合唱、第53曲は、玉座に座っておられる方、神として十字架の贖罪によって人間を救ったメシアを代々限りなく感謝を込めて賛美します。この曲の限りない賛美は、音楽によって賛美というものが具現された素晴らしい例であると言えます。
曲終の《アーメン・コーラス》は、独立した一つの楽曲とみることができるというほどの豊かな内容をもっています。その内容というのは、テキストの「アーメン」の一語は、《メサイア》の全体が歌いつづけて来た全ての主題、キリスト教信仰内容の全て(Christian Vision)を「確かにそうです」と肯定し、「信仰宣言」するという意味をもっていること、そしてこの一語のテキストによる《アーメン・コーラス》が、重層的に構築されて来た《メサイア》の全体像に対応しながら、それを完璧に包含するほどの、多彩で究極的な音楽内容をもっている一大合唱フーガになっていることです。

第53曲のより広く、より高く、天空のかなたに響きわたる賛美と感謝の声は、時空を超えた神秘の領域に広がり、限りない神秘のうちに包まれて行きます。この合唱こそ、人間な憧れの究極である無限・永遠への到達 ー 「愛の完成」が、感じられるような合唱であるということができます。


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《アーメン・コーラス》の世界!
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by francesco1hen | 2011-11-19 15:48 | Comments(0)
2011年 11月 18日

(5)《メサイア》の音楽とその楽曲編成 2 つづき

[ 復活後の第12楽曲群から第13楽曲群第44曲「ハレルヤ!」まで ]

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ジョット  キリストの昇天


第12楽曲群 キリストの昇天と教会による「救いの継続」  [ R / C / A / C / A / C ]
 第34曲「いったい神は、かつて天使のだれに」(天に昇るキリスト)    テノール R
 第35曲「神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ」(神の右の座にいるキリスト) 合  唱 C
 第26曲「あなたは高い天に昇り」(キリストの昇天と天の住家)     アルト  A
 第37曲「主は約束をお与えになり」(聖霊降臨における教会の成立)    合  唱 C
 第38曲「良い知らせを伝える者の足は、なんと美しいことか」
                  (全世界への福音宣教)        ソプラノ A
 第39曲「その声は全地に響き渡り」(宣教をする教会の時代)       合  唱 C

第13楽曲群 世界終末の状況とキリストの再臨による「救いの完成」 [ A / C / R / A / C ]
 第40曲「なにゆえ、国々は騒ぎたち」(地上の王たちの反逆)       バ ス  A
 第41曲「われらは枷をはずし」 (悪の勢力との戦い)           合   唱 C
 第42曲「天を王座とする方は笑い」(再び地上に臨むキリスト)      テノール R
 第43曲「お前は鉄の杖で彼らを打ち」(反キリストの粉砕と敗退)     テノール A

 第44曲「アレルヤ!」(メシアの勝利・救いの完成 ー ハレルヤ!)      合 唱 C


メシアの受難による救いを歌う第22曲の合唱「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ」に始まる《メサイア》第二部は、驚嘆すべき多様で豊かな声楽的・音楽的内容をもつ諸楽曲が、見事な構成と構造をもとに展開され、《メサイア》の究極的テーマである「救いの完成」を第44曲「ハレルヤ!」の
大合唱によって完結します。

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by francesco1hen | 2011-11-18 18:26 | Comments(0)
2011年 11月 18日

(5)《メサイア》の音楽とその楽曲編成 2

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ルオー  受難のキリストの顔


第二部「メシアの受難・復活から終末における救いの完成まで」の楽曲編成

《メサイア》の第二部は、衝撃的なヨハネによる福音書の 1,29 をテキストとする悲痛ながら荘重な響きをもった合唱によって始まります。この曲によって事態は一転し、イエスの受難が重苦しく人々に迫り、人々は自分たちの罪の重さを意識する雰囲気につつまれます。

第8曲 世の罪を取り除く神の小羊・メシアの受難による「救い」 [ C ]
   第22曲「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ」(救い主メシアへの注目)

第9楽曲群 ヤーウェの苦難のしもベの贖罪の真相  [ A / C / C / C ] 
 第23曲「彼は軽蔑され、人々に見捨てられ」 (受難のメシアの悲惨なすがた)  アルト A
 第24曲「彼が担ったのはわたしたちの病」 (目ざめた人の良心の声)      合 唱 C
 第25曲「彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた」(メシアの贖罪の意味)合 唱 C
 第26曲「わたしたちは羊の群れ、道を誤り」(罪の告白のことば)        合 唱 C

この「ヤーウェの苦難のしもベの歌」のテキストは、《メサイア》全曲の中で最も感動的なアリアと、これにつづく三つの合唱によって、繰り返し繰り返し唱われて深い印象を与え「受難のメシア」の姿を人々の心に深く刻み付けます。

第10楽曲群 ゴルゴタの丘におけるメシア受難の描写  [ RA / C ]
 第27曲「彼を見る人は皆、彼を嘲笑い」(メシアに対する群衆の嘲笑と悪意) テノール RA
 第28曲「主に頼んで救ってもらうがよい」(メシアへの侮蔑と暴言)      合  唱 C

第11楽曲群 メシアの十字架上の死と復活 [ RA / A / ・RA / A / C ]
 第29曲「嘲りに心を打ち砕かれ」(エルサレムの婦人たちの同情)      テノール RA
 第30曲「目を留めよ、よく見よ。これほどの痛みがあったろうか」
             (百人隊長ら心ある人々の感動)      テノール A(アリオーソ)
 第31曲「彼は命あるものの地から断たれた」(メシアの十字架上の死)    ソプラノ RA
 第32曲「彼の魂を黄泉に渡すことなく」(メシアの埋葬と復活への希望)  ソプラノ A

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ベラスケス  十字架上のキリスト(部分)
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       その足下(部分) 
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ルーベンス  キリストの十字架降下


 第33曲「城門よ、頭を上げよ」(復活した”栄光の王”メシアの輝かしさと力)合  唱 C

第23曲「彼は軽蔑され、人々に見捨てられ」に始まって歌い続けられたメシアの受難の厳しさは、
第33曲の合唱によって、極限まで追求された響きで「栄光の王の入城」すなわちかぎりなき栄光に輝く王メシア・キリストの復活が力強く華やかに歌われます。

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エル・グレコ  キリストの復活 (画家の想像による復活の様子)
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ジョット  復活後マグダラのマリアに現れるキリスト(ヨハネ福音書 20,11-17 にもとづく)
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by francesco1hen | 2011-11-18 10:29 | Comments(0)
2011年 11月 16日

(5)《メサイア》の音楽とその楽曲編成 1

 

    [ ザ・ダブリン・ジャーナル ] 1742 年 4 月 17 日の記事


今週火曜日(13日)にヘンデル氏の宗教的グランド・オラトリオ《メサイア》が、フィッシャンブル街のニュー・ミュージック・ホールで演奏された。最高の批評家たちもそれが、最も完成された音楽であることを認めている。《メサイア》が憧れを抱いて群れ集まった群衆に与えたこの上ない喜びは、言葉では言い尽くせない。高貴で威厳に満ちた感動的な歌詞につけられた音楽の崇高さと気品と優しさは、共に相たずさえて恍惚とした心と耳をとらえ、魅了した。

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第一部「旧約の預言とメシア降誕・良き羊飼いイエス」の楽曲編成

 第1曲 Sinfonia シンフォニア [序曲]

荘重なグラーヴェの響きに歌う者も聴く者も、旧約の預言者が語るメシアに関する預言を想い起こし、メシア降誕の喜びと良き羊飼いイエス、その受難から復活・昇天・全世界への福音宣教、そして終末における最後の審判へと想像力をかき立てられます。

第1楽曲群 メシアに関する第一の預言 [RA(レチタティーヴォ・アコンパニアート)/ A(アリ                     ア)/ C(コーラス)]

 第2曲「慰めよ、わたしの民を慰めよ」(バビロンからの解放の知らせ) テノール RA
 第3曲「谷はすべて身を起こし」(救いの道の準備の呼びかけ)     テノール A
 第4曲「主の栄光がこうして現れる」(主の栄光の現れの予告)     合  唱 C

第2楽曲群 メシアに関する第二の預言 [ RA / A / C ]

 第5曲「万軍の主はこう言われる」(新しい時代の到来)      バス   RA
 第6曲「彼の来る日にだれが身を支えうるか」(メシアの来る日)  ソプラノ A (アルト)       第7曲「彼はレビの子らを清め」(メシアを迎える心の準備の促し) 合  唱 C

第3楽曲群 メシアに関する第三の預言 [ R / A - C ]  

 第8曲「見よ、おとめが身ごもって」(メシアの受肉と生まれるメシアの名前)
                         アルトまたはコントラルトの R と 合唱 C
 第9曲「良い知らせをシオンに伝える者よ」(伝えられる「栄光の現れ」)
                         アルトまたはコントラルトの Aと 合唱 C

第4楽曲群 メシアに関する第四の預言 [ RA / A / C ]

 第10曲「見よ、闇は地を覆い」(主の栄光と救いの到来)       バス  RA
 第11曲「闇の中を歩く民は、大いなる光を見た」(主の栄光の輝き)  バス   A
 第12曲「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた」(来臨するメシアの姿の不思議)
                                   合 唱 C 
第13曲 ピファ (パストラル・シンフォニー)

 牧歌的シンフォニー 《ピファ》は、第一部を二つに分けるという非常に重要な効果を持つ美しい
 牧歌的な管弦楽曲です。

第5楽曲群 イエスの誕生・人となったメシアへの賛美 [ R / RA / R / RA / C ]

  第14a 曲「その地方で羊飼いたちが野宿しながら」(野宿する羊飼いたち)ソプラノ R
  第14b 曲「主の天使が近づき」(天使の接近と羊飼いたちの恐れ)    ソプラノ RA 
  第 15 曲「天使は言った」(メシアの降誕を告げる)         ソプラノ R
  第 16 曲「すると突然、この天使に天の大軍が加わり」 
                 (おびただしい天使の群れの賛美)   ソプラノ RA
  第 17 曲「いと高きところには栄光、神にあれ」(天上の賛美と地上の賛美の響き)
                                    合 唱 C

    
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エル・グレコ  イエスの降誕と羊飼いたちの歓び
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《いと高きところには栄光、神にあれ! 地には平和、御心にかなう人にあれ!》


第6楽曲群 メシア降誕の喜び  [ A ]

 第18曲「娘シオンよ、大いに踊れ」(喜びと平和の知らせ)       ソプラノ A

第7楽曲群 イエスの奇跡と福音宣教 [ R / A / C ] 

 第19曲「そのとき、見えない人の目が開き」(イエスの奇跡の数々) 
                            ソプラノまたはコントラルト R
 第20曲「主は羊飼いとして群れを養い」 (良き羊飼いイエスの優しさ) ソプラノ  A
第21曲「彼の軛は負いやすく、彼の荷は軽いからである」(イエスの福音)  合 唱  C

この楽曲群は、新約時代の良き羊飼いイエスの姿を浮かび上がらせ、その奇跡や福音のことばを心に染み透らせるようなものにする魅力を持っています。

そして、喜びに満ちあふれる、明るく快活な合唱第21曲で第一部は結ばれています。
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by francesco1hen | 2011-11-16 12:55 | Comments(0)
2011年 11月 15日

(4)《メサイア》各部の主題と全体像 4

第三部「死者の復活と永遠の生命 ー 愛の完成」のテキストと楽曲の構成

第一部と第二部は、キリスト教信仰内容の全体像( Christian vision )を明確に歌っています。そして第三部は、第44曲《ハレルヤ!》が歌う「救いの完成」の神秘をくわしく説明するように歌う部分です。そういう意味で、なくてはならない大切な部分です。

まず歌われる第14楽曲群(第45曲〜第46曲)は、キリストの贖罪とキリストを信ずる者の復活を歌い、つづく第15楽曲群(第47曲〜第51曲)は、パウロのコリントの教会への手紙によって「死者の復活と永遠の生命」の神秘を解き明かすように歌います。

第16楽曲群(第52曲〜第53曲)は、死者の復活と永遠の生命への願望が、あますところなく満たされる「メシアによる救いの完成(愛の完成)」を限りなく歌う最終部分です。第53曲《その血で屠られた小羊は》は、第二部最後の第44曲《ハレルヤ!》の大合唱と同じように、救われた者たちの歓びと賛美の大合唱です。

終結の長大なアーメン・コーラスは、第一部から歌いつづけられてきたすべての信仰内容の力強い肯定であり、信仰宣言(信仰告白)であるといえます。あのヨハネの黙示録最後の「マラナ・タ(主よ、来てください)!」という、終末におけるキリストの再臨 ー 神の国の実現を願う、究極的願望にほかなりません。

ジェネンズとヘンデルの《メサイア》のメッセージは、すべての人間・人類が「永遠の生命」に招かれていること、それが必ず実現することを確信させる、呼びかけといえます。
端的にいえば《メサイア》は、救われる者たち、人類の《希望と喜び》の音楽なのです。


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《ハレルヤ!》の大合唱と第53曲の《その血で屠られた小羊は》の最終大合唱はこのような世界でしょうか!
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by francesco1hen | 2011-11-15 17:23 | Comments(0)