2019年 03月 18日
(3)世界の終末における救いの完成「愛の完成」 ヨハネによる福音書の6章40節につぎの言葉があります。 「わたしの父(である神)のご意思とは、子(キリスト)を信じる人が皆、永遠の命を持ち、 わたしが、その人を終わりの日に復活させることである」。 愛によって人を創造された神は、世界の終末のキリストによる救いの完成で、「肉身の復活と永遠の生命」をもつ者として、人を完全なものにします。 完全な人間の最終的な姿は、死によって失った肉体を復活させ、霊肉の「永遠の命」を持った者です。しかも、それが、神と「完全に一つ」になった「愛の完成のうちに在る」ことでした。 そのすがたは、パウロのコリント人への手紙につぎのように書かれています。 「顔の覆いを取り除かれて、わたしたちは皆、鏡のように主の栄光を映し出しながら、 主の霊によって栄光から栄光へと、主と同じ姿をもった者に変えられていくのです」(3 ,18)。 終わりの日には、人は「神と一つ」になって、神の栄光の中にあるのです。 * [ エピローグ ] ポール・ゴーギャンの大作の画題は、 「われわれは、どこから来たのか、われわれは何者か、われわれは、どこへ行くのか」という問いかけでした。 わたしたちは「神から来た者」です。 わたしたちは「神と完全に一つになる者」です。 わたしたちは神に帰り、「愛の完成」のうちに入ります。 * 「わたしたちの源泉は、神であり、神は究極の目標です」 * 新約聖書の最後の「ヨハネの黙示録」には、世界の終末について、次のような記述があります。 「新しい天と地」と「新しいエルサレム」(黙示録 21, 1 - 2. 21, 10 - 11. 21, 22 - 23 .) わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と先の地とは消え去り、もはや海もない。 わたしは、聖なる都、新しいエルサレムが、神のみもとから出て天から降るのを見た。 天使は、霊に感じていたわたしを、高い山に連れて行き、 聖なる都エルサレムが、神のみもとから出て天から下ってくるのを見せてくれた。 都は神の栄光に包まれていた。その輝きは、最も高価な宝石のようであり、透きとおった碧玉のようであった。 この都の中に神は見えなかった。万物の支配者である主と小羊(キリスト)とが、都の神殿だからである。 この都には、それを照らす太陽も月も必要がない。神の栄光が都を照らし、小羊が都の明かりだからである。 * 「わたしは道であり、真理であり、命である」 #
by francesco1hen
| 2019-03-18 11:32
2019年 03月 18日
(2)キリストの救いの「わざ」(十字架の受難による救い) フラ・アンジェリコ 《 受胎告知 》 フラ・アンジェリコ 《 受胎告知 》(修室の壁画) 「受肉」=「託身」とは、神が人間を救うために「人となること」です。救い主(メシア=キリスト)が、この世にうまれて人となることを、「受肉」(incarnatioin)・「託身」といいます。 フラ・アンジェリコ 《 受胎告知 》 マリアが天使ガブリエルから受胎告知を受けて、メシア・イエスが生まれることになりました。 イエスが生まれてからの時代からを新約聖書の時代といいます。この時代にイエスによって、神ヤーウェは、父と子と聖霊の交わりのうちにある「三位一体の神」といわれるよう啓示されました。 ヨハネによる福音書は記しています。「み言葉は人となり、我々のうちに住むようになった。我々はこの方の栄光を見た。父の元から来た独り子としての栄光である。独り子は恵みと真理に満ちていた」(ヨハネ 1. 14)。 メシア・イエスの生涯は、神の子が人となって(受肉して)福音宣教をすること、十字架の犠牲による「救いのわざ」を果たすことでした。 イエスの福音宣教の第一声は、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」でした。これは、神の国を求め、神の命にあずからせる「永遠の命に生きる恵み」があること(福音)を信じなさい、ということです。 「永遠の命」に生きることは、神の国で「神と一つ」になり、「人が神から来て、神に帰る」という「神からの恵みと真理」を受けることを意味しています。 神の似像として造られた人間は、神の英知とはからいの中で、幸福に過ごすことができました。しかし、罪の陰に陥って不幸なこともありました。この状態から救い出すのがメシア・イエスの使命でした。 人となった救い主(メシア)が十字架に付けられ、その「受難の愛」が、すべての人の救いの基となったのです。父である神が、その独り子を救い主としてこの世に送ったのは、神に似せて創造した人間を、慈しみと憐れみの愛によって愛されたからです。 それはキリストを信じる者が一人も滅びることなく、永遠の命を得させるためでした。 永遠の命とは、人が「神と一つ」になり、神の命を生きることです。 これは神からの最も大きな「恵み」です。 神が人となることは「受肉の謙遜」といわれます。人を贖うために十字架で苦しみのうちに死んだキリストの愛を「受難の愛」といいます。この「受肉の謙遜」と「受難の愛」は、救いという「神の恵み」です。 この十字架の救いが行われた前の日に、最後の晩餐がありました。この夜、イエスは様々なことを弟子たちに話しました。中でも重要なことは、つぎの言葉でした。 「わたしが 父のうちにおり、あなたがたが わたしのうちにおり、そして、わたしが あなた方のうちのいることを、 その日、あなた方は悟るであろう」(ヨハネ 14 , 20)。 その日とは、「神の国」に入った時のことです。神の国に入るということは、神と「完全に一つになる」ことです。 この他にもイエスは、「愛について」さまざまなことを語りました。 そして語り終えた後、ゲッセマネの園に行き、自分のためと弟子たちのため、そしてキリストを信じる者ために祈りました。 彼等のためには、「わたしが 彼等のうちのおり、あなたが わたしのうちにおられるのは、彼等が完全に一つになるためです」(ヨハネ 17, 2)と祈りました。 このイエスの祈りは、前出の「神の国」に入った時に悟ることでした。キリストの十字架の「救いのわざ」は、神から出た者が神に帰ったとき、「神と完全に一つなる」ことができるようにすることでした。 これが救いの恵みであり、真理・真実です。 * * * * #
by francesco1hen
| 2019-03-18 11:21
2019年 03月 18日
[ エピローグ ] フランスの画家 ポール・ゴーギャン(1848-1903)の2度目のタヒチ島での滞在中に描いた畢生の大作の画題は「エピローグ」の言葉です。 この題名の「問いかけ」は、人間の存在にとっての根源的な問いかけです。この問いを避けて通れるものではありません。 (1)天地創造と人の創造 天地の創造について、詩編104 「創造主への賛美」では、自然の中に見られる 神の英知と栄光を讃えます。 そして、自然界の創造では、植物・太陽・月・生き物の創造が 神の恵み豊かなものであることを 美しいことばで歌っています。 最後には、すべてのものに対する神の 英知と はからいを述べて、神を賛美して結んでいます。 人の創造について、創世記は次のように述べています。「神はご自分にかたどって 人を創造された」(創 1. 27)。 また、「神である主は 土の塵で人を形づくり、命の息をその鼻に吹き入れられた。そこで 人は生きるものとなった」(創 2. 7)。 神に似せて造られ、「命の息」を吹き入れられた人間は、「神の似像」(iago Dei)であり、神の本性にあずかりうる「不滅の霊」をもった存在になりました。与えられたこの「不滅の霊」は、神と命を共にできる「永遠の命」です。 このように素晴らしいものとして造られたアダムとエヴァは、蛇の誘惑を受け、禁断の食物を食べて失楽園という不幸な姿をすることになりました。 そのような不幸を背負った人間について、イザヤ預言者が、その預言書43章1-8 節で、エジプトから脱出したイスラエルの民が 前6世紀にバビロン捕囚から解放されることを記した言葉は、 「ヤコブよ、イスラエルよ、お前を創造さらた方、主は、今、こう仰せになる。・・・・ まことに、わたしはお前の神、主、お前の救い主、・・・。お前は わたしの目に貴く、重んじられる。わたしは愛するから、人をお前の代わりとし、諸国の民をお前の命の代わりとする。・・・・ わたしの息子を遠くから、娘を地の果てから連れてこい。これらの者はみな、わたしの名をもって呼ばれる者。わたしがわたしの栄光のために創造し、形づくり、作り上げたた者」。 という、驚くべき言葉でした。神に似せて創造された人間が、神に愛される貴重な存在であることを示し、その存在が神の栄光の輝きとなるというのです。 もともと人類の代表として選ばれたイスラエルの民は、モーセがシナイ山で「十戒」を受てから、律法を守る民となりました。モーセ五書にでている律法は、人間が人間らしくなり、神に向かって聖くなるように与えれれた神ヤーウェの言葉です。 律法の核心となる言葉は、「わたしは聖なるものであるから、あなたたちも聖なるものとなりなさい」(レビ記 11, 45)です。 「律法」は、「神の似姿となる」ように人を招くヤーウェの言葉です。そして、神の愛に招かれている人の生き方を明示しています。 このように律法をまもりながら生きる人間は、詩編104 「創造主への賛美」の中で歌われたように、神の恵みの豊かさの中で生きていました。しかし、原罪の陰のある人間には、イザヤ書に書かれていたように「救い主」による神の救いが必要でした。 「イスラエルの民の前史」(パレスチナ定住・出エジプト・バビロン捕囚) 遊牧民であったヘブライ人(宗教的な呼び方では、イスラエルの民)は 前1500年ころパレスチナに定住し、その一部は飢饉の時には エジプトの移住しました。しかし、エジプトでは新王国の圧政に苦しみ、前12世紀に 指導者モーセに率いられてエジプトから脱出しました(出エジプト)。 前1000年頃ヘブライ王国を建設し、ダヴィデ王・ソロモン王にもとで繁栄しましたが、王の死後、王国は北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂しました。その後イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ(前722)、ユダ王国も新バビロニアに滅ぼされて、前586年住民の一部の多くは、バビロンに連れ去られました(バビロン捕囚 586-538 B.C. )。 紀元前8世紀にあらわれた 預言者ホセア は、神の愛の預言者、また、前8世紀のヨハネ と言われています。 何故ならば、彼は神ヤーウェの愛について多くを書き記しているからです。彼の預言書の11章には つぎのように書かれています。 「イスラエルが幼いころ、私は彼を愛した。わたしは わたしの子たちをエジプトから呼び出した。 わたしはエフライム(イスラエルと同じ)に歩むことを教え、彼らをわたしの腕に抱えた。 しかし、彼らはわたしに癒されたことを、知らなかった。 (父母性的な愛) わたしは愛の紐や愛の絆で 彼らを導いた。わたしは彼らに対しては、赤子を抱き上げ 頬ずりをする者ようであった。 わたしは身をかがめて 彼らに食べさせた。 (慈しみの愛 強い絆で結ばれた愛) わたしの民は わたしを見捨てたために弱った。 エフライムよどうしてお前を見放すことができようか。 ・・・ わたしの心は思い乱れ、わたしはますます憐れを催す。 わたしはもはや怒りを燃やさない。わたしは 再びエフライムを滅ぼすことはない。 わたしは神であって、人ではないから。わたしはお前とともに 聖なる者で、破壊(滅ぼす)することを好まない」。 (憐れみの愛 捨てはおけない気持ち、共感同苦) このように神の愛の預言者ホセアは、イスラエルの民の不幸な状態に対して、父母性的な愛と慈しみの愛と憐れみ深い神の愛を明らかにしたのです。 アッシリア帝国に支配されて、また、バビロン捕囚下の民族の苦難に苛まれる人々の中に、やがて救い主(メシア)への待望の機運が起ってきました。 * #
by francesco1hen
| 2019-03-18 11:14
2019年 03月 04日
《 天地創造と神のはからい そして 人が生きる喜びの讃歌 》 詩編104は、創造主への賛美をつぎのように歌っています。この詩編は、自然の中に見られる神の英知と栄光を讃えます。 心を尽くして神をたたえよう。わたしの神ヤーウェ、あなたはまことに偉大なかた。 誉と輝きを身に帯びて、衣のように光をまとわれる。 と歌い始め、つづいて、創世記1章の順をおって 神の創造のわざを 歌います。 あなたは地の基をすえ、地はとこしえに揺らぐことがない。 あなたが大水で衣のように地をおおわれると、水は山々をおおい隠した。 水は山から谷に下り、定められたところに流れた。 と美しいことばで神を讃えます。そして、 自然界の創造では、植物・太陽・月・生き物の創造が、神の恵み深いものであることを美しい詩ののことばで歌います。 あなたは谷間に泉をわき出させ、山かげを流れる沢とされる。 野のすべてのけものは その水を飲み、野に住む ろばも 渇きをいやす。 空の鳥が そのほとりに巣を作り、木々の梢からは さえずりが聞こえる。 あなたは高いところから山々を潤し、地は あなたのわざの実りで満たされる。 家畜のために若草がもえ、人は作物を育て、地から糧を得る。 人の心を喜ばせる ぶどう酒も、顔をつややかにする油も、人の命をささえるパンも。 神の植えられたレバノン杉、神の木々は潤いに満ちている。 小鳥は そこに巣を作り、こうのとりは糸杉に巣をかける。 小高い山は やぎの すみか、岩場は あなぐまの隠れる ねぐら。 あなたは月を造って四季を定め、太陽に沈む時を教えられる。 最後には、すべてのものに対する 神の英知とはからい を述べ、神を賛美して結びます。 神よ、あなたが造られたものは数えきれない。英知によって形造られたものは地に満ちている。 命のある すべてのものはあなたを待ち望み、あなたは必要な時に食物を与えられる。 あなたが与えられるものを 彼らは集め、恵まれるよいもので満たされる。 栄光は神にとこしえに。造られた すべてのものは 神の喜び。 わたしは生涯、神に向かって歌い、命のある限り神を讃えよう。 わたしの歌が 神の喜びとなるように。わたしは 神のうちにあって喜ぶ。 このように詩編104 は、すべてのものが神を讃える すばらしい詩情あふれる詩編です。 創造の偉大さ、大自然の中で生きるものの喜びによって、創造主である神を この上なく賛美しています。 #
by francesco1hen
| 2019-03-04 11:22
2019年 01月 17日
今週の日曜日1月13日 (2019) は、カトリック教会では「キリストの洗礼」を記念する祭日でした。 ルカによる福音書は、ヨルダン川の辺りで、キリストが洗礼を受けたことについて、次のように記しています。 そのとき、民衆はメシアを待ち望んでいて、洗礼者ヨハネについて、もしかしたら彼がメシアではないかと、皆心の中で考えていた。そこで、洗礼者ヨハネは皆に向かって言った。 「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物の紐を解く値打ちもない。その方は、聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる」。 民衆が皆洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降って来た。 すると、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に敵う者」という声が、天から聞こえた。 洗礼者ヨハネが、「その方は、聖霊と火で・・・洗礼をお授けになる」と言った「洗礼」の元の意味は「沈める」「浸す」です。 イエスは 洗礼によって人を、聖霊(火はそのシンボル)という「神の命」の中に浸す、という意味です。 メシア・イエスは洗礼を受けたのち、ガリラヤで福音宣教の第一声をあげました。 一番早く書かれた マルコによる福音書 には、次のように書かれています。 イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えて、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」と言われた。 * 悔い改めて というのは、これまで世俗の富を求めてきた考え方を改めて、一番大切な「神の国」を求める生活をしなさい、ということです。 イエスが昇天によってこの世を離れる時の弟子たちへの最後の言葉は、「あなたたちは行って、すべての国の人々を弟子にしなさい。すなわち、父と子と聖霊のみ名に入る洗礼を授け、わたしがあなた方に命じたことを、すべて守るように教えなさい」でした。 ここで「み名に入れる」の み名は、名前で呼ばれる「神そのもの」を指し、父である神 と 子であるキリスト と 聖霊の「三位一体の神の命」の中に入る(沈める、浸す)こと、神の本性に与るこを意味しています。 洗礼は、キリスト教の信仰に入る入信式です。その「洗礼の秘蹟」とは、特別な神の恵みをうける徴として水で洗う(浸す)という行為によって「神の命」に入ることです。 そのことは、神にかたどり、神に似せて創造され「命の息」を与えられた人間の本性が、「神と一つになる」ことのできる存在であることを示しています。 #
by francesco1hen
| 2019-01-17 10:56
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人間は、いいものに出合ったり、文化や宗教の深い意味を知ったり、よい事に出合ったりすると、それを共有したり、それを人に伝えて喜びあったりしたくなります。「宜有千萬」(よろしく千萬あるべし)、《 シャローム・平安!》を あなたに。 by francesco1hen カテゴリ
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