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家田足穂のエキサイト・ブログ

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2011年 10月 14日

漢字の面白さと意味の深さ(13)補遺  無と委

無と委という字の成り立ちを見ると意外な面白さがあります。「無」という字の意味には難しいものを含んでいますが、これについても少し触れたいと思います。

[ 無 ] もとは象形の文字で、舞う人の形。舞の字のもとの字は無でした。衣の袖に飾りをつけ、袖をひるがえして舞う人の姿でした。無う(ぶう)という雨乞いの祭りの字に使いました。有無の「ない、なし」の意味に用いるのは、その音を借りる仮借の用法です。無が「ない」の意味に用いられるようになって、無に、舞の下の部分「せん」(左右の足が外にむいて開く形で、舞うときの足の形)を組み合わせた舞が「まう、まい」の意味として使われるようになりました。
用例には、無知、無智、無名、無事、絶無などありますが、問題は[無」です。

[ 委 ]  禾と女を組み合わせた形。稲を頭に被って舞う女のすがた。女は低い姿勢で舞うので委には、「ひくい、したがう、まかす」という意味があります。また、「しなやか」なことから「よわよわしい、やつれる」の意味にも使われます。用例は、委員、委任、委細、萎縮など。

さて、問題の「無」ですが、「無」は有無を超えた「絶対無」のことです。現象的な存在ではない、
「あれ」とか「これ」とか指示することができない「存在そのもの」のことを「無」といいます。これを把握することが禅の目的です。

有為・無為(サンスクリタ・アサンスクリタ)は、現象と現象を超越した常住不変の存在をさし、
無為を真如(しんにょ)ともいいます。真如の真は「真理」、如は性質が「変転しない」の意味で、
真如は、宇宙万物に偏在する根源の実体をいいます。

プラトンは、目に見えて生滅変化する現象は存在しない。目に見えない《イデア》こそ真実に存在するものである。真実在である《イデア》は、常住不変、不生滅、不増減、絶対美、美そのもの、美の真実在、最も完全なもの、善のイデア、これこそ真実在、《存在そのもの》である、と言っています。

「無」も《イデア》も眼には見えないけれども、常住不変の[存在そのもの]であることに変わりはないようです。

余談ですが、ある人は平仮名の「む」を見るとアジサイにとまっているカタツムリを連想するそうです。また、ある詩人は子供のころ「を」という字を見て面白くてなんども「を」の字をノートに書くのを愉しみにしていたそうです。何故かというと「を」見ると女の人が座っているように見えるから面白いと言っていました。

漢字・平仮名まじりの日本語は、実にすぐれた言語の表現とおもいます。


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庭園全体が《美の極致》といえる日本庭園だと思っています。


                 * * * * *


       わたしがわたしの父のうちにおり、あなた方がわたしのうちにおり、
       
       そして、わたしがあなた方のうちにいることを、

       その日、あなた方は悟であろう。

                        (ヨハネによる福音書 14 , 20 )



最後の晩餐のとき、弟子たちがどのていど理解したかはわかりませんが、その日とは、天の国に入ったときです。そのときにはすべて明らかになるのですが、
この言葉は、神の国にはいったとき、三位一体の神と人間が、完全に「一つになる」ということです。「神の愛」のなかに入っている、また、「神の平和」の中にいるともいえます。


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               *  *  *


これで《10月のブログ》はおわりです。11月にまたお会いします。

読覧くださった皆様に「神からの恵みと平和がありますように!」という挨拶をお送りします。

平和・平安のほんとうの意味は、神からの恵みに満たされている幸福な状態をいいます。平和・平安を《シャローム!》といいます。ヘブライ語のシャロームには、平和・平安のほかに、健康、健全、繁栄、充実、充満、完全、至福など幸福に充たされている状態の意味が込められています。

           では、もう一度《シャローム・平安!》を。



                    *

by francesco1hen | 2011-10-14 17:23


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