人気ブログランキング | 話題のタグを見る

家田足穂のエキサイト・ブログ

france1pen.exblog.jp
ブログトップ
2011年 10月 27日

漢字の面白さと意味深さ(14)補遺 正と公

幼い時の親友はの名は、正夫くんでした。先輩に公二さんがいました。

[ 正 ] 一と止の組み合わせです。一はもと囲の井のない四角の形に作り、城郭で囲まれた邑(まち)を意味していました。止(足あとの形)の古い形は之(し=ゆく)と同じで、行くの意味があり、正は城邑に向かって人が進む形で、攻めて征服する意味で、正は征のもとの字です。征服して税を取ることを征といい、その支配の方法を政といいます。征も政の行為も正当(道理にかなっていること)として正義(正しい道理)としていました。これは支配者の勝手ないいぶんですが、「ただしい、ただす」の意味になりました。正統、正道、正面、正門など。すきな言葉は「姿勢を正す」です。

[ 公 ] 方形で表わされる場所で、行われる儀礼・行事が公事、公務(おおやけの仕事)です。その場所が公ということから、公は「宮殿、祖廟、公(きみ=支配者)」となり、また「おおやけ」の意味になりました。さらに支配する者の考え方を、公平、公正なものとしました。

この二つの字から、二つの言葉が出てきます。正義と公正です。正義とは、人間の行為の正しさと言われますが、根本的な意味は「すべての人の権利を認めること」です。でも、正義だけで社会は幸福にはなりません。そのために必要なものは公正です。公正は正義と同じような意味で使われていますが、もっと深い意味では「社会的弱者への配慮」です。正義と公正の関係を見事に説明する言葉があります。
「穀物を収穫するときは、畑の隅々まで刈り尽くしてはならない。収穫後の落ち穂を拾い集めてはならない。ぶどうも摘み尽くしてはならない。ぶどう畑の落ちた実を拾い集めてはならない。これらは貧しい者や移住者のために残しておかねばならない」と、人は自分の権利(正義)だけではなく、社会的弱者への配慮を求められています。(レビ記 19,9-10)

これに関連する言葉が、ツイッターに出ています。興味のある方はそちらへどうぞ。
Twitter URL http://twitter.com/FraFrancesco3 では、色々なことが書いてあります。

なお、気になっている字、調べてみたい字がありましたら、遠慮なくトラックバックを使って、
お申し出て頂けば嬉しく存じます。皆さんと、ご一緒に考えてみたいと思います。

漢字の面白さと意味深さ(14)補遺 正と公_b0221219_22414624.jpg

漢字の面白さと意味深さ(14)補遺 正と公_b0221219_22422449.jpg

  京都洛西小倉山の二尊院(釈迦と阿弥陀仏の二仏を本尊とする小倉山山麓の寺院)

by francesco1hen | 2011-10-27 23:32


<< 漢字の面白さと意味の深さ(15...      漢字の面白さと意味の深さ(13... >>