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家田足穂のエキサイト・ブログ

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2012年 03月 21日

[ 5 ] 《完全なもの》とは何でしょうか?

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                           題字は、書家金澤翔子の書。



 祇園精舎の鐘の声、諸行無情の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらは(わ)す。おごれる人も久しからず、唯春の夢のごとし。 (『平家物語』)

                        *

 ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし。
(『方丈記』)


この二つの文章は、表現の緊密さとリズムの良さからともに人気のあるものです。しかも、万人から受入れられていた「無常観」をよく表わしていることで有名です。



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東日本大震災一周年を迎えて、新聞はつぎのように書いています。

「未曽有の揺れと津波は、街の姿形だけでなく住民の生活や人生も一瞬で変えた。生活の利便性を支えていた原発は、目に見えない恐怖となり、ふるさとから住民を遠ざけた。発生から一年。多くの被災者には今も悲しみや苦労が続く。」

とにかく、生活の場の「復興」は、一刻も早く続けなければなりません。しかし・・・

大震災はさまざまな面で、われわれに考え方を変えなければならないことを教えています。大震災は巨大な自然の力で、人々が築きあげてきた街や現代文明に浴してきた広範囲の地域全体を壊滅させました。そして、2万人余りの命が無差別的に奪われ失われました。このとき以来の数々の困難や不幸は、今なお被災者たちに重くのしかかっています。


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これらの大災害の出来事は、われわれに現代の有為転変・生々流転・諸行無常を感じさせるものではないでしょうか。

現代文明はあらゆる意味で危険性を孕み、不変・不滅・完全なものはないことが明らかになりました。平穏で楽しい幸福な生活が一瞬に、また、時とともに失われていくとき、人びとはそれが変わらないこと、その永続を望まない者はいません。


むかしの人は、この世は生滅変化し(諸行無常)、その存在や現象は無であり空である(諸法無我)。だから絶対の安らぎや平和を求めなければならない(涅槃寂静)と考えました。

このようなことに関して、人類は紀元前8世紀の頃から「不滅・完全」、「平和・平安」に生きるためにはどうしたらよいかを考えていました。


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by francesco1hen | 2012-03-21 17:42


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